乗り降り記録ブログ[駅ログ]

全国の鉄道駅の乗り降り記録を綴ります

秋田臨海鉄道特別公開2020(2020.10.17)

貨物駅の公開イベントは各地で少なからずありますが、過去に参加したことがあるのは、JR貨物の隅田川駅でのフェスティバルくらいで、〇〇臨海鉄道の括りでは初めて。加えて、今回の秋田臨海鉄道のイベントは、創業50年にして初、さらには2021年3月末を以って同社の鉄道事業は廃止ということを考えると、最初で最後の催しになる可能性が大・・・いろいろな意味で貴重な機会だった訳です。

キャンセル待ちから晴れて参加することができたというだけでも十分ありがたかったのですが、こういう時は何かしらあるもので、期せずして抽選会で栄えある1等をいただいた次第。これまた人生初となるディーゼル機関車の添乗体験をさせてもらったのでした。

秋田港駅に着いてまず抽選の番号を確認し、当選!がわかった時点でその件が最優先となりました。機関車の場所に13時に集合ということで、駅前付近で過ごせる時間は15分ほど。鉄道グッズ・部品などの販売ブースが近くにありましたが、ゆっくり眺めている余裕はなく、水島臨海鉄道硬券セットを何とか買い求めた後、機関車方面に急いだのでした。

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添乗体験で乗せてもらったDE10-1250。手すりを伝って何とか上がることができました。

構内は広く、集合場所までの距離はそれなり。留置してあるブルートレインディーゼル機関車の列を撮るのも後回しです。着いたのは会場案内で「機関車撮影」と記されたエリア。機関車添乗はもう1組いらっしゃって、こちらの組と合わせて4人が乗り込む形でした。

乗ったのは本線運用の「DE10-1250」。1976年製とのことでしたが、よく手入れされていて、外観もきれいなものでした。ただし、旅客用ではないため、ステップや通路は狭小。運転室に行き着くまでなかなか大変なことがわかりました。

機関車は、秋田港駅に向かって約200m進み、また元の位置に戻りという形で2往復。運転席は二つあって、一つを現役運転士が使い、もう一つを参加者が1往復ごとに交代で座るという仕切りでした。この時、運転室には参加者、臨海鉄道の運転士、係員で計6人。運転室は6~7人は入れるとのことだったのでほぼ定員だった訳ですが、わりと自由度は高く、車窓を楽しむのも走行中の様子を撮るのもバッチリでした。

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横向きの運転台が二つあるのが同社の機関車のポイント(社長談)。運転用で使うのは一方のみで、もう片方は常時非番とのこと。
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1250号機の先頭側を撮影。向かう先は、ディーゼル機関車の撮影エリア。

構内では時速30km出すこともあるそうですが、今回の体験ではその半分から時速20kmといったところ。運転席にいる間は速度計を眺めつつ、音や揺れを楽しみました。

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非番の方の運転台。「押し込み作業時のマスコン扱い方」のメモも注目ポイント?
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せっかくなので、社名部分をアップで撮らせていただきました。
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こうしたシーンを撮影できるのも添乗体験ならでは。秋田臨海鉄道の社章も目を惹きます。

添乗体験は10分余りで終了。案内にある順路では、機関車コーナーの次は、秋田港駅ホームを回り込んで、コキ50000やコンテナの見学となっていましたが、こちらはショートカットで来てしまったため、グッズ・部品の次に控える「検修庫見学」がまだでした。ディーゼル機関車6連+1両を順に眺めつつ、検修庫の方に戻り、そこで静態保存中の「DD56-2」と対面。検修庫内をひととおり見学した後、DD56の運転室に入り、年季の入ったマスターコントローラーやブレーキを重点的に見させてもらいました。

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本線運用のDE10×3(左から、1543号機、1251号機、1250号機)。過去に使われたヘッドマークが掲げられ、サービス満点。
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DE10-1543とブルートレイン。1543号機は、本線運用で使われている3両のうちの1両です。
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傷みが目立つ車両が大勢ですが、秋田港駅ブルトレ(24系)の宝庫。写真は「オハネフ25-125」。
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DE10-1503を先頭に連なるディーゼル機関車の列。この1503号機は部品取り用で留置されていましたが、2020年10月のうちに解体されるとのことです。
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24系の展示では、懐かしの「急行 あきた」の表示も。方向幕の実演展示はありませんでした。
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検修庫外観。こじんまりした印象です。
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検修庫内部。秋田臨海鉄道オリジナルの「DD56-2」が留置されていました。
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青の基調色に白波・・・デザインが秀逸なので、何らかの形で保存してもらいたいところですが、今後の予定は何とも...
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DD56-2の運転台。ブレーキハンドルが二つあり、上は単機運転時、下は牽引運転時で使うのだそうです。
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懐中時計や職名札のほか、10/17の「構内車両別時刻表」も見せてもらいました。往路で乗った列車は12:31着、復路出発は15:00発というのが時刻表からもわかります。

検修庫の次は改めてグッズをと思い歩いていると、「あちらにいるのが社長さん」といった件を含め、女性スタッフの方と立ち話に。その後、ブルートレインを撮っていたら、その社長さんが近くを歩いていたのでお声がけし、添乗体験の御礼を一言・・・のつもりがついつい雑談モードになり、特別公開を行うに至った経緯、在籍する機関車の特徴、事業廃止に伴うイベントの可能性などの話を聞くことができました。(お話、いろいろとありがとうございました。)

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秋田臨海鉄道 志水社長。この「赤鬼」が目印だそうです。
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秋田臨海鉄道同様、水島臨海鉄道も50周年(志水社長曰く、臨海鉄道は同期組が多いのだとか)。記念の硬券入場券セットを買ったところ、ノベルティを足してくれました。
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会場案内図。「機関車往来」(緑の⇔)=添乗体験の往復になります。
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抽選会の賞品例。まさか1等が当たるとは...(今年最大の大当たりだと思います)

この後は、待合室で展示されていた模型やヘッドマークを見物したり、本命の秋田臨海鉄道グッズを物色したりといった具合。グッズの方は、車票・荷票の類を購入しましたが、小降りだった雨が徐々に強くなり、ブースで少々足止め状態に。傘を差し、社長さんおすすめの「ポートタワー・セリオン」に向かい、展望台からの眺めを楽しむことにしました。

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切り出したばかりのレール(重石)。長年使ってきたことがわかる形状になっているのがポイントで、その筋のファンには垂涎の的なのだとか。太さ不問で一つ1,000円。小幅のものでもずっしりと重いので、さすがに手が出ませんでした。

展望台は高さ100m。360°展望なので、秋田臨海鉄道の駅構内全体をはじめ、南線、北線とそれぞれの先(向浜、秋田北港)も見渡すことができます。秋田港と臨海鉄道のための展望台と言ってもいいかも知れません。

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セリオン展望台からの眺め。ブルトレ3編成、機関車6連+1両などが一望できます。左がコキ50000と北線方面、右手前が検修庫。検修庫の横を右に延びるのが南線(向浜=日本製紙方面)です。
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秋田臨海鉄道とJR貨物の秋田港駅であることがわかる看板。2021年4月以降は、秋田臨海鉄道が抜けることに。

セリオンを後にして、秋田港駅へ。現地の滞在時間2時間半と長めでしたが、早いもので残り10分ほどになってました。雨は上がり、列車が発車する頃には青空も。コンテナやコキ50000を間近で見学する時間はありませんでしたが、光を浴びたそれらの姿を最後に車窓から見送ることができ、言うことなしです。

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団体臨時列車の車窓から。コンテナは内部の見学もできました。奥の編成がコキ50000の貨車。

秋田臨海鉄道見学の旅」、参加できて本当によかったと思います。

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