貨物駅の公開イベントは各地で少なからずありますが、過去に参加したことがあるのは、JR貨物の隅田川駅でのフェスティバルくらいで、〇〇臨海鉄道の括りでは初めて。加えて、今回の秋田臨海鉄道のイベントは、創業50年にして初、さらには2021年3月末を以って同社の鉄道事業は廃止ということを考えると、最初で最後の催しになる可能性が大・・・いろいろな意味で貴重な機会だった訳です。
キャンセル待ちから晴れて参加することができたというだけでも十分ありがたかったのですが、こういう時は何かしらあるもので、期せずして抽選会で栄えある1等をいただいた次第。これまた人生初となるディーゼル機関車の添乗体験をさせてもらったのでした。
秋田港駅に着いてまず抽選の番号を確認し、当選!がわかった時点でその件が最優先となりました。機関車の場所に13時に集合ということで、駅前付近で過ごせる時間は15分ほど。鉄道グッズ・部品などの販売ブースが近くにありましたが、ゆっくり眺めている余裕はなく、水島臨海鉄道の硬券セットを何とか買い求めた後、機関車方面に急いだのでした。
構内は広く、集合場所までの距離はそれなり。留置してあるブルートレインやディーゼル機関車の列を撮るのも後回しです。着いたのは会場案内で「機関車撮影」と記されたエリア。機関車添乗はもう1組いらっしゃって、こちらの組と合わせて4人が乗り込む形でした。
乗ったのは本線運用の「DE10-1250」。1976年製とのことでしたが、よく手入れされていて、外観もきれいなものでした。ただし、旅客用ではないため、ステップや通路は狭小。運転室に行き着くまでなかなか大変なことがわかりました。
機関車は、秋田港駅に向かって約200m進み、また元の位置に戻りという形で2往復。運転席は二つあって、一つを現役運転士が使い、もう一つを参加者が1往復ごとに交代で座るという仕切りでした。この時、運転室には参加者、臨海鉄道の運転士、係員で計6人。運転室は6~7人は入れるとのことだったのでほぼ定員だった訳ですが、わりと自由度は高く、車窓を楽しむのも走行中の様子を撮るのもバッチリでした。
構内では時速30km出すこともあるそうですが、今回の体験ではその半分から時速20kmといったところ。運転席にいる間は速度計を眺めつつ、音や揺れを楽しみました。
添乗体験は10分余りで終了。案内にある順路では、機関車コーナーの次は、秋田港駅ホームを回り込んで、コキ50000やコンテナの見学となっていましたが、こちらはショートカットで来てしまったため、グッズ・部品の次に控える「検修庫見学」がまだでした。ディーゼル機関車6連+1両を順に眺めつつ、検修庫の方に戻り、そこで静態保存中の「DD56-2」と対面。検修庫内をひととおり見学した後、DD56の運転室に入り、年季の入ったマスターコントローラーやブレーキを重点的に見させてもらいました。
検修庫の次は改めてグッズをと思い歩いていると、「あちらにいるのが社長さん」といった件を含め、女性スタッフの方と立ち話に。その後、ブルートレインを撮っていたら、その社長さんが近くを歩いていたのでお声がけし、添乗体験の御礼を一言・・・のつもりがついつい雑談モードになり、特別公開を行うに至った経緯、在籍する機関車の特徴、事業廃止に伴うイベントの可能性などの話を聞くことができました。(お話、いろいろとありがとうございました。)
この後は、待合室で展示されていた模型やヘッドマークを見物したり、本命の秋田臨海鉄道グッズを物色したりといった具合。グッズの方は、車票・荷票の類を購入しましたが、小降りだった雨が徐々に強くなり、ブースで少々足止め状態に。傘を差し、社長さんおすすめの「ポートタワー・セリオン」に向かい、展望台からの眺めを楽しむことにしました。
展望台は高さ100m。360°展望なので、秋田臨海鉄道の駅構内全体をはじめ、南線、北線とそれぞれの先(向浜、秋田北港)も見渡すことができます。秋田港と臨海鉄道のための展望台と言ってもいいかも知れません。
セリオンを後にして、秋田港駅へ。現地の滞在時間2時間半と長めでしたが、早いもので残り10分ほどになってました。雨は上がり、列車が発車する頃には青空も。コンテナやコキ50000を間近で見学する時間はありませんでしたが、光を浴びたそれらの姿を最後に車窓から見送ることができ、言うことなしです。
「秋田臨海鉄道見学の旅」、参加できて本当によかったと思います。